井氷鹿/井光【ヰヒカ/イヒカ】
珍奇ノート:イヒカ ― 井の中から現れた尾のある人 ―

イヒカとは、「日本神話」に登場する神(人物)のこと。

大和国の国津神で、光る井の中から現れた尾のある人 もしくは 光って尾のある人 であったとされている。

なお、『古事記』では井氷鹿(ヰヒカ)、『日本書紀』では井光(イヒカ)と表記される。


基本情報


概要


イヒカは神武天皇が東征の折に出会った人物であり、天皇が大和国の吉野を訪れた際に井の中から現れて、天皇に素性を尋ねられると「私は国津神のイヒカと申します」と答えたとされ、吉野首らの始祖であるとも説明されている。

特徴としては「尾のある人」という点であり、資料によっては「本人が光っていた」とも記されている。この他にも「尾のある人」としてイワオシワクノコやツチグモなどが登場している。

なお、イヒカは奈良県にある井光神社や長尾神社などで祀られており、水神または井戸の神として信仰されているらしい。また、水光姫命(みひかひめのみこと)という祭神名で祀られていることもあるようだ。

データ


種 別 日本神話の怪人
資 料 古事記、日本書紀、先代旧事本紀 ほか
年 代 神武天皇の時代
備 考 尾のある人だったとされる

日本神話


各資料によるイヒカ


イヒカは、『古事記』『日本書紀』などの資料に登場している。

資料によって表現が異なるが、いずれも「井の中から現れた尾のある人」という点で共通している。

また、「井」については井戸ではなく「川」もしくは「泉」と解釈されることもある。

あらすじ


イワレビコ(後の神武天皇)が、ヤタガラスに導かれて東に向かっている時のこと。

大和国の吉野に着いた時に、井の中から尾のある人が現れた。

イワレビコが素性を尋ねると、尾のある人は「私は国津神のイヒカと申します」と答えた。

資料




「神武東征」


カムヤマトイワレビコ(後の神武天皇)がヤタガラスに導かれて東に向かっている時のこと。

その途中で光る井を見つけると、その中から尾のある人が出てきた。

カムヤマトイワレビコが素性を尋ねると、その者は「私は国津神のヰヒカ(井氷鹿)と申します」と答えた。

ヰヒカは吉野首(よしのおびと)らの祖先である。



「秋八月甲午朔乙未」


イワレビコ(後の神武天皇)が、菟田穿邑から吉野に着いた時のこと。

井の中から光って尾のある人が出てきた。

カムヤマトイワレビコが素性を尋ねると、その者は「私は国神のイヒカ(井光)と申します」と答えた。

この者が吉野首(よしのおびと)らの始祖である。


備考


フィクション


・「女神転生シリーズ」では、イモリ人間ような姿で描かれている